最近、中国と米国の覇権に関して、いろいろな場面で話を聞いたり、読んだりすることが多くなってきました。基本的には米国の覇権の終焉と中国の覇権に対する執着のようなイメージですが、たまに”はっ”とする記事に出くわすことがあります。(米国の政治と経済は表裏一体の関係です。)
ティモシー・ガイトナーとGEに関する記事をご覧下さい。
米国の財務政策を司るボスはチモシー・ガイトーナーである。
中国に大甘の姿勢で、為替不正操作を黙認し、いまも中国を「不公平で人為的な人民元操作をしている」と非難しながらも、財務省報告では為替不正操作国とは認定しない。それはひとえに9000億ドルをこえる米国債権を「中国様が買って下さる」からだ。
しかしガイトナーの交渉術は、じつは中国的なのである。
彼は80年代に北京へ留学した最初のアメリカ人学生で、同級生には北朝鮮、西アフリカの国からの留学生ばかり、学生寮の部屋にはもちろん冷蔵庫もなかった。
ガイトナーの北京での留学生活は六年にわたり、だから北京語はぺらぺらである。中国人のマナー、伝統的交渉術もしっかりと身につけている。
父親のピーター・ガイトナーはフォード財団北京事務所の責任者となり、80年代から盛んに有能な中国人を米国へ留学させる。そのうちの二人が王岐山と周小川なのである。王岐山は副首相で中国の金融通貨税制政策を担当し、周小川は中央銀行総裁(中国人民銀行行長)として金利、為替、通貨供給に辣腕を振るう。つまり、ガイトナーの中国コネクションの強さ!
GEとは、昔も今も米国において別格の座を占める会社だ。
オバマ大統領はこのほど、GEの会長兼CEOジェフリー・イメルト氏を直属諮問委員会(「雇用と競争力に関する諮問会議」)の議長に選んだ。そのことをオバマ氏は21日、胡主席離米の日にニューヨーク州にあるGEの工場へわざわざ出向き、イメルト氏を脇に置いて発表した。だとすると以下に見ていく5つのディール(別表参照)とはすべて大統領の承知するところで、各事業における今後の展開は、ホワイトハウスのお墨付きを得たものになるとみてよいのではないか。
GE側 |
中国側パートナー |
中国側主力分野 |
目指す事業 |
概要 |
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GE Energy |
神華集団有限責任公司 |
採炭・エネルギー |
石炭ガス化 |
JV設立 |
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GE Energy |
中国華電集団公司 |
国営発電 |
分散型 |
ガスタービン発電機 |
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熱電併給 |
50基以上 |
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GE |
中国鉄道部(鉄道省) |
鉄道 |
GE制機関車 |
3.5億ドル |
Transportation |
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関連機材供与 |
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GE |
中国南車股イ分有限公司 |
鉄道 |
フロリダ、 |
JV (5000万ドル |
Transportation |
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カルフォルニア |
共同出資) |
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高速鉄道 |
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GE |
中国航空工業集団公司(AVIC) |
軍用機 |
新世代航空 |
上海にJV |
Aviation |
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民間航空機 |
電子システム |
中国国産大型 |
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ステルス開発中 |
開発販売 |
旅客機 C919 |
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開発支援 |
イメルト人事発表のタイミングにも、大統領府は意を配った可能性がある。ことによると公私混同・利益相反のそしりを呼んだかと疑わねばならないくらい、GEが胡錦濤国家主席の訪米を機に結び、明らかにした対中合意は踏み込んだ性質のものだったからだ。
このことからも、中国は決して単独で覇権を握れるどころか、完全に米国の言いなりであると言っても良いのではないでしょうか。中国が米国の国債を買い支える(日本に代わって)、すなわち、米国の覇権が当分続くことに対する疑いの余地は非常に低いように思えてきます。